『公正証書遺言の作成方法』
〇はじめに
前回、「公正証書遺言」の特徴について、ご説明しました(前回のコラムはこちら)。
今回は、「公正証書遺言」の作成方法について、ご説明いたします。
〇公正証書遺言の作成方法
「公正証書遺言」とは、証人2名の立会いの下、遺言内容を公証人が確認の上で作成し、かつ、原本を公証役場で保管してもらう遺言です。
公正証書遺言の作成は基本的に以下の流れで行います。
①資料の収集と遺産・相続人の確定
遺言の最も大きな役割は、遺産の分配です。そのため、ご自身の遺産としてどのようなものがあるか、それぞれ金額がどれくらいか、を把握します。
遺産は、相続人以外の者にも譲渡できますが、その場合、相続人に遺留分が生じる可能性があります。そのため、ご自身の相続人がだれか、も把握しましょう。
これらの際に戸籍や通帳等の資料も集め、できるだけ正確に遺産や相続人を把握しましょう。お一人で資料を収集する方法がわからない、大変だという場合は弁護士にご相談ください。
②遺言の内容案の確定
把握した遺産や相続人を基に、どのような遺言を行うか、内容を考えます。細かい文言等は公証人から教えてもらえますので、まずはご自身の思うままに遺言内容を考えましょう。
ただし、公証人は、遺言者の意思を残すのみですので、当該内容が法的に有効か、他に別途紛争を生じさせる余地がないか等は、判断しません。これらについて不安がある場合には、弁護士にご相談ください。
③証人の依頼
公正証書遺言の作成には、証人が2名必要となります。
証人は、ご自身で依頼されることも可能ですし、公証役場で証人を紹介してもらうこともできます。
だだし、証人を紹介してもらった際には、1名あたり10,000円程度の費用が必要です(金額は公証役場によって異なります)。
④公証役場への原案や資料提出、打合せ
遺言内容の原案が完成し、資料がそろいましたら、公証役場に連絡を入れます。基本的には、どの公証役場にしなければならないといった制約はありません。また、公証人を指名することもできますし、役場に決めてもらうこともできます。
すぐに公証人が決まりますので、当該公証人の指示に従って、資料や遺言内容の原案を提出してください。
その後、公証人と打ち合わせを行い、公証人で正式な条項を作成していきます。
健康上の理由等で公証役場に出向けないとき等は、公証人に自宅や病院へ出張してもらって打ち合わせを行うこともできます(別途出張費用は必要です)。
⑤公正証書遺言の作成当日
作成当日は、遺言者と証人2名が公証役場に赴きます。その際、本人確認書類(遺言者、証人双方)と実印、事前に公証人から伝えられる金額を持参してください。
通常、打ち合わせで内容を把握していますので、公証人があらかじめ公正証書遺言案と写しを作成して待っています。当該案を、公証人が遺言者と証人の前で読み上げますので、遺言者は内容に間違いがないかしっかり確認してください。
内容に間違いがない場合、原本分に遺言者と証人が署名押印します。
公証人が署名押印し、当該公正証書遺言が方式に従って作成されたことを付記します。これで公正証書遺言が完成です。
その後、公正証書遺言の正本と謄本が作成され、遺言者に渡されます。原本は、公証役場で保管されますが、正本と謄本はしっかり保管してください。
最後に、作成費用を精算して終了となります。
〇まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、「公正証書遺言」の作成方法についてご説明いたしました。
お一人で資料を集め、原案を作成し、証人を確保して、公証人とやり取りを行うのは大変かもしれません。公正証書遺言の作成について是非弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士 後藤 壮一